マスプロダクション(大量生産品)とは、主にマーケティングによって仕様が左右されるものです。とりわけトレンドが大きな指標となり、結果、マーケットには似たようなプロダクトが流通する傾向にあります。これを競技用自転車の用品部品に当てはめてみれば、昨今、マット仕上げであったり、上品で落ち着いた雰囲気を持ったフィニッシュの製品が多いことは明らかです。しかしトレンドとは常に変化するものです。カンパニョーロのBORA限定品“BORA WTO ULTRA – TEAM EDITION”に、時代の変化やマーケットが何を要求しているのか、そんなことを見て取ることができます。
BORAシリーズは普及モデルではありません。世界の頂点で戦える競技機材であり、当然性能も第一級のもので、軽さや剛性、ハンドリングや空力性能を極めた最高のモデルです。そしてプロ選手が勝利のために選択するホイールである一方、プロが使用する最高の機材を好むサイクリストからも常に高いニーズを持つものです。最近の傾向として、プロ用はともかく、一般サイクリストをターゲットとしたとき、その仕上げをラグジュアリー化することで、所有欲も満たす魅力的な仕様が施されていることが挙げられます。具体的にはC-LUXによる美しいリムの仕上げです。しかし、トレンドが立ち止まることはありません。シックで高級感溢れる仕上げも魅力的だけど、20年ほど前、ディープリムに白文字で大きく描かれたカンパニョーロのロゴ。そんな躍動感のある仕上げもいいよね。そんな話がカンパニョーロ社内で持ち上がったのです。
2024年、カンパニョーロPR担当氏は世界中の輸入代理店を訪問しました。その結果、ひとつの結論が「躍動感のある仕上げ」がカンパニョーロ製品、とりわけホイールに求められていることでした。折も折、2024年末に“CAMPAGNOLO IS BACK!!!!”と題したカンパニョーロがワールドツアーのTeam COFIDISに機材提供を行うキャンペーンが行われました。時を同じくして、DE ROSAが機材供給を行うUCIプロチームのVF Group Bardiani-CSF Faizanèにも、カンパニョーロは継続して機材供給を行うことを発表したのですが、両者のプレスリリースには新鮮な印象のBORAが装着された写真が掲載されていました。光り輝くグロス仕様のフレームに装着されたホイールは、フレームと同様のグロス仕上げで、しかも白文字で大きく描かれたカンパニョーロのロゴが描かれていました。つまりカンパニョーロは限られた時間のなかで、チームバイクの仕上げ、マーケティング、トレンド、そして市場の要求(幅広い選択肢)を勘案して、まずはチーム供給用、新しいデザインのBORAを作り上げたのです。そして間髪入れず、チームエディションとして、これを市場にも投入してきました。
もちろん、グラフィックは20年前の焼き直しではありません。リムに描かれる白文字の大きなロゴにも技術的なアップデートが行われています。かつては「ステッカー」であったロゴは、ウォータートランスファー グラフィック、すなわち水圧転写の技術が使われています。これはロゴデザインを印刷した特殊なフィルムを水が入った水槽に浮かべ、水の表面張力を利用してインク層のみを転写する技術。リムのような曲面への加飾に最適で、メリットは水圧によってムラなく転写される美しい仕上げと耐久性で、トップコートを施すことによりその美しさと強さ、そしてラグジュアリー感を長きにわたり楽しむことが出来ます。
BORA WTO ULTRA – TEAM EDITION
販売価格:¥685,300(税込価格)
・リム径:700C
・リムハイト:45mm または 60mm
・重量:1.325g (45mm) および 1.395g (60mm)
・リム内幅:23mm
・2 WAY FIT
・CULT セラミックベアリング
・ウォータートランスファー グラフィック
・フリーボディ:N3W または HG11
・入荷予定:2025年5月