
1919年、ヨーロッパが第一次世界大戦の戦禍から立ち直る頃、27歳のアンジェロ ルイージ「A.L.」コロンボは小さな工場で鋼管の生産を開始しました。この頃は自転車の需要が高まり、アンジェロは早い段階でビアンキやアタラなどといった自転車メーカーを顧客として持つことになります。そして自転車
で実績を残した鋼管の多様性と、その強みを見出したアンジェロは、水上飛行機や道路車両の鋼管フレーム、家具、スキーポール用の材料として、自らの鋼管を供給するようになりました。折も折、1920年代のイタリアは航空産業の最前線にあり、アンジェロは航空機メーカーのカプロニと強い関係を築き、有名な航空機のバックボーンとなるチューブを製造しました。そして1927年、アンジェロは航空史の一部となります。イタリアの有名なパイロットであるデ・ピネードとバルボの大西洋横断飛行機の機体は、アンジェロのチューブで作られたのです。このチューブは当時、レースで優勝したモト・グッツィのオートバイのシャーシの製造に使用されていたのと同じもので、アンジェロは鋼管で陸と空を制したのです。

このような実績に驕ることなく、アンジェロの研究は続きます。強度を高めつつ重量を減らすために、長さに沿ってチューブの厚さが変化する「バテッド」チューブの実験を始めました。 そして3年後の1930年、アンジェロ・ルイージは「コロンブス」というブランド名を考案しました。これは当初、クロムメッキ鋼管家具のみに使用されていました。コロンブスがミラノの第6回トリエンナーレに出展した最初の試験期間の後、アンジェロ・ルイージは、マルセル・ブロイヤーの象徴的な家具デザインの製造についてEMBRU(スイスの家具メーカー)への独占供給権を獲得しました。その後まもなく、コロンブスの家具はオフィス、大学、学校、そして一般家庭からも支持されるようになりました。当時の最高の合理主義建築家であるフィジーニ、ポリーニ、テラーニ、パガーノ、プッチ、ファッチョーリがコロンブスのデザインを手掛け、家具業界に革新をもたらし、モダニズムデザインのリーダーとしてのコロンブスの評判をさらに高めました。

その一方で、自転車用の鋼管も評価が高く、1930年代後半、コロンブスの名は「アエレ」や「テナックス」とともに、自転車のチューブの特別なセットに初めて名付けられました。コロンブスのチューブはクロムモリブデン鋼から引き抜かれ、フォークのブレードは楕円形で、今日まで一般的になっている標準的な特性がこの時代に確立されたのです。そしてアンジェロは、テーパー形状のチューブを製造するための独自の製造機器を設計・開発し、ストレスが最も大きい接合部でチューブを強化しました。
アンジェロは自身の鋼管を様々な世界でフル活用し、自動車レースの世界においてもレーシングカーの骨格にチューブを供給し、彼の息子であるジルベルトは、ランチア、マセラティ、フェラーリのシャシーを設計。ファンジオ(「エル・マエストロ」)、アスカリ、ジジ・ビロレージはコロンブスのシャーシで勝利を収めました。この時に作られたチューブプロファイルのいくつかは、その後数年間に自転車のフレームにも採用されることになります。

そして自転車フレーム用の特殊チューブの開発と製造を専門とする新しい会社「コロンブス」が 1977年に設立されました。アンジェロ・ルイージの末息子であるアントニオ・コロンボは、A.L.コロンボの社長の職を辞し、新生コロンブスに専念しました。自転車、航空機、自動車のテストから得た豊富な経験がビジネスの原動力でした。コロンブスの鋼管は様々な工業で脚光を浴びますが、コロンブスのチューブを使用するイタリアの自転車職人(ビルダー)が賞賛され、そのブランドが広く知られる事実をもって、アントニオ・コロンボは国際市場を見据えて世界に打って出る決意を固めます。それ以来、フレームの最も大きなストレスを受ける部分に焦点をあてた継続的な研究により、コロンブスのチューブは剛性と強度が向上、変形や破損に対する耐性が高まりました。注目すべき革新には、テーパーゲージがあります。
楕円形のフォークブレード、円錐状の螺旋チューブバッティング、初の完全空力チューブセッ「Air」、そして自転車デザイナーとライダーにさまざまなオーバーサイズチューブプロファイルの利点を提供する「Max」。ますます多様化する生産ラインと並行して、すべて管理された原産地と保証された品質の
900種類のチューブを製造し、コロンブスは競争の激しいセクターで成長を続けました。トラックでの記録挑戦のために、コロンブスはコッピ、アンクティル、バルディーニ、リヴィエール、ブレッケ、リッター、メルクス、モゼール、エルステッドといった偉大なチャンピオンのために超軽量チューブセットを開発。

1978年以来 A.L. コロンボから独立した新しいコロンブスの主な焦点は、インテリジェントな実験と技術の進歩です。最も権威のある研究機関と共同で実施された研究を基礎として、路上や実験室で高度なテストを実施。その新しいチューブセットの優秀性はジモンディからメルクス、イノーからアルジャン
ティン、レモン、ロシュまでのトップライダーが証明してくれました。そして時代に即した素材にも積極的で、今日では新世代の高性能オーバーサイズスチールチューブセットと、カーボンファイバーモノコックフォークを開発。更にはフレーム、コンポーネントの開発を推し進めています。

コロンブスの進化。それは立ち止まることはありません。
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